非定型うつ病

非定型うつ病は、「わがまま」とか「怠けぐせ」という誤解を受けやすい病気です。

ふつうのうつ病とは症状が違うので、周囲も本人もうつ病とは気づかないことが多いのです。

そのために、人間関係をわるくして会社に行きづらくなるなどの悩みを抱えている人が少なくありません。

 今回は10代後半~30代の女性に多い非定型うつ病の特徴と克服法について解説します。

 

トモトモ

最近は「うつ病」になる人が多いと聞いてたけど「否定形うつ病」という変わったうつ病もあるんですね?

エリ先生エリ先生

そうなの!若い女性に多いんだけど、一見「うつ病」と分かりずらいが特徴なの。気になるなら、まずは「セルフチェック」してみて!



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非定型うつ病とうつ病の違い、セルフチェックのポイント

まず、うつ病と非定型うつ病の違いを比べて見ることにしましょう。

「非定型」とは症状が一定しないという意味ではなく、ふつうの(定型の)うつ病とは症状が違うという意味です。

うつ病の症状 非定型うつ病の症状
1 朝から午前中に気分が落ち込む 夕方から夜に気分が落ち込んだり不安になることが多い
2 不眠の症状が出る 10時間以上眠る過眠の症状が出ることが多い
3 食欲が落ちる 過食の傾向が出る。とくに甘いものが食べたり肥満ぎみになる
4 好きだったことや趣味に対する興味を失う 好きなことをしているときは元気になる
5 外出する気がしない 仲の良い友達との旅行などには積極的になる
6 他人からの非難に反論する気力がでない 他人からの拒絶や避難に過剰に反応して、ときには激怒して反撃する
7 身体がだるくなって動く気がしない 身体がだるくなるのは同じだが、手足が異常にだるくなり「鉛様麻痺」といわれる
8 気分の落ちこんだ状態が続く 感情の起伏が激しくなり、ときには過剰にハイになることがある(双極性障害と似た点がある)
9 性欲が低下する 衝動的な性行動や飲酒行動にでることがあ

セルフチェックをして、上記の症状の5つ以上にあてはまるなら「非定型うつ病」の可能性が大きいと言えます。

これらの症状を見ると、非定型うつ病が他人から誤解されやすく、人間関係をこわすリスクが大きい病気であることが分ると思います。

非定型うつ病になりやすい人

非定型うつ病は10代後半から20代に発症することが多く、女性の患者が男性の2倍以上います。

うつ病は40代に発症することが多いので、この点でも違いがあります。

非定型うつ病は病気なのでどんな人でもなる可能性がありますが、とくに次のような性格傾向のある人がかかりやすい病気だと言われています。

かかりやすい傾向の人
  • 学校の成績がよく、手のかからない「よい子」だった。
  • 責任感が強い。
  • 失敗したり叱られるとひどく落ち込む。
  • 自己肯定感が弱く、他人の非難に敏感だ。
  • 気持ちが優しく、周囲の空気に敏感だ。
  • 強く自己主張することができない。
  • 人に弱みを見せたくない。
  • 他人に甘えるのが下手だ。

 

このような性格の人はストレスがたまりやすく、それが非定型うつ病の発症に関係していると考えられています。

非定型うつ病の原因

非定型うつ病の原因はよく分っていません。

ふつうのうつ病も詳しい原因は分かっていませんが、脳内神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンの不足によるなど、いくつかの有力な仮説があります。

それに対して非定型うつ病は病名自体が新しいもので、原因の仮説も立てられていないのが現状です。

非定型うつ病は気分の浮き沈みがはげしいことから、双極性障害(いわゆる躁うつ病)との関係を指摘する専門家もいます。

非定型うつ病はうつ病に比べて性格的要因が大きいと考えられます。

また、うつ病は発症するきっかけになる出来事などがはっきりしないことが多いのに比べると、自分についてのわるい噂が立ったとか、仕事で大きな失敗をしたなどきっかけがはっきりしているケースがあります。

もちろん、きっかけがはっきりしないケースも多くあります。

非定型うつ病の人が抱える悩み

非定型うつ病の症状によって多くの患者さんが社会生活上つぎのような悩みを抱えています。

抱える悩み
  • 会社で上司や同僚とうまくやっていけない。
  • 恋人との関係がわるくなる。
  • 家族と不仲になる。
  • 友達を失う。
  • 「気分屋」、「身勝手」「怠け者」などと言われる。
  • 陰で自分の悪口を言われていると思う。
  • 過眠などで生活のペースが乱れる。
  • 衝動的な消費行動で経済的に苦しくなる。
  • 刹那的な性行動などの後に自己嫌悪におちいる。

 

このような悩みが重なると、薬物の過剰摂取や自傷行為にはしる心配があります。症状をセルフチェックして非定型うつ病の可能性がある場合は、悩んでいるだけでなく専門医の治療を受ける必要があります。

非定型うつ病の治療法と克服法

非定型うつ病は、精神科または心療内科で治療します。

治療は薬物治療と精神療法の二本立てで行ないますが、中心になるのは行動療法などの精神療法です。

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非定型うつ病の薬物療法

治療の初期や症状が重い急性期にはうつ病と同じ抗うつ剤が処方されます。双極性障害のお薬である気分安定剤が処方されることもあります。

抗うつ剤は脳内神経伝達物質のセロトニンやノルアドレナリンを増やす作用があるお薬です。しかし、抗うつ剤はふつうのうつ病に比べて非定型うつ病では効果がそれほど大きくないので、お薬を飲むだけでは症状が大きく改善することは期待できません。

非定型うつ病の精神療法

精神療法にはカウンセリングや認知行動療法などがあります。

カウンセリング

カウンセリングは、心理療法士などのカウンセラーに対して自分の悩みなどを話しながら、自分のものの考え方や、性格、問題点などにみずから気づいていく治療法です。

人の心の中は分りにくいものですが、ある意味で自分の心がいちばん分りにくいのかもしれません。知りたくない自分を抑圧して意識しないようにしがちなのが人の心です。

非定型うつ病になっている場合は、ふだんよりもさらに自分を見る視野が狭くなっていることがあります。

カウンセラーはおもにあなたの話をだまって傾聴するのが仕事ですが、話をすることで自分自身ついてさまざまな「気づき」を得ることができます。

自分の考え方のクセや問題点に気づくことは、正体が分らない不安に悩まされていたそれまでの症状の改善に役立ちます。過剰に自分を責める気持ちや、反対に過剰に他人を責める気持ちもやわらぐことが期待できます。

認知行動療法

認知とは、ものの受け取り方や考え方のことです。言い換えるとものの見方や考え方のクセです。この認知に「ゆがみ」があると、心のバランスがとれなくなり、ストレスが大きくなります。

カウンセリングも広い意味で認知療法のひとつですが、「行動療法」は日常生活で認知のゆがみを修正していく治療です。例えば、日々の生活行動に優先順位をつけて実行していくことなどで、自分の行動や考え方に自信をつけていきます。

いわば身体を動かしながら、気持ちのよい心のあり方を身につけていく方法です。様々な手法がありますが、次に述べる「日常生活での克服法」もその1つということができます。

非定型うつ病の日常生活での克服法

生活リズムを整える

非定型うつ病は、気分の落ちこみ、過眠、手足のだるさなどで、ふつうの生活リズムを守ることも容易ではありません。しかし、つらい症状に引きずられて生活リズムが狂うとますます気分が落ち込み、感情の変動も大きくなります。

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起きられないほど身体がだるいような時は別として、できるだけ規則正しい生活を送るようにしましょう。

生活のリズムを調える
  • 朝決めた時間に起きる
  • 起きたら散歩して日光を浴びる
  • シャワーを浴びる
  • 朝食を食べる
  • 会社(学校)に行く

どれも特別のことではありませんが、ふつうのこと、当りまえのことを「日課」として実行することが大切です。

用事や行動に優先順位をつける

何もしたくないという気持ちだけでなく、あれもこれもしなければならないとあせる気持ちも症状を悪化させます。用事に優先順位をつけて重要なものから片づけるのは、認知行動療法の1つでもあります。

小さな目標を立てて、それに向かって努力する

うつ病の治療では休養が何より優先されますが、非定型うつ病は「少し頑張る」ことも必要です。

何か得意なジャンル、好きな分野で小さな目標を立ててそれに向かって努力することで元気が出ます。目標を達成することで自信がつき、自己評価を高めることができます。

軽い運動を習慣にする

心と身体は別物のようで、お互いに深く影響し合っています。1日に30分くらい軽い運動をすることで心のバランスも良くなります。

ジョギングやウォークングはもちろんその候補ですが、テニスやバレーなどの球技もストレスの解消になります。

まとめ

非定型うつ病は、つらい症状をガマンしていると重症化して治りにくくなります。

セルフチェックをしてその可能性が高いと思ったらなるべく早く専門医を受診することをおすすめします。

また、病院で治療をしても薬だけで治る病気ではないので、少しずつものの見方や考え方のクセや偏りを直していく努力も必要です。


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